公益社団法人日本口腔インプラント学会 第38回中部支部学術大会大会長挨拶
公益社団法人日本口腔インプラント学会第38回中部支部学術大会 大会長 日比英晴

 わたしどもの所属する名古屋大学歯科口腔外科はただいま開設百周年を迎えています.その開祖である北村一郎教授は東京大学医学部歯科学教室から着任した際に,医学のなかで口腔科学がいかにあるべきかを説きました.その原点を再認識したこの節目の時期に日本口腔インプラント学会中部支部学術大会を担当する機会をいただきましたので,口腔科学者としての使命をすこしでも果たせればと考えています.

 本学は6名のノーベル賞受賞者を輩出し,いまその学術憲章が注目されています.そのなかに「名古屋大学は,自由闊達な学風の下,人間と社会と自然に関する研究と教育を通じて,人々の幸福に貢献することを,その使命とする」とあり,受賞者たちは口をそろえて「自由闊達」がよかったのだと振り返ります.そのひとりである野依良治特任教授が2001年にノーベル化学賞を受賞したのを記念してできましたのが野依記念学術交流館で,本大会の会場です.本学のなかでは,豊田講堂が東京銀座だとすると青山あたりの雰囲気でしょうか,緑に囲まれた落ち着いたところにあります.

 さてテーマは「超高齢社会をみすえる」です.今年度の厚生労働省歯科疾患実態調査では8020達成者が5割を超えるでしょう.これはわれわれ歯科を担うものがいかに多くの歯を残すかにつとめてきた証だと考えます.そしてインプラントを適用するなら,いかに適正配置するか,最小限の本数で最大限の効率をあげるか,要介護状態で困ることがないか,あたりまえのことを再確認するだけでなく,われわれの予見義務がいま問われています.そこで特別講演として本学未来社会創造機構および大学院医学系研究科発育・加齢医学講座老年科学分野の葛谷雅文教授に「超高齢社会における高齢者医療の現状と今後求められる視点」について総論的にお話をうかがいます.各論はこれをうけ「超高齢となったときにそのインプラントは?」と題し,市民の皆さんが長期的な視点からインプラントについて考えてもらえる機会を設けました.また専門医,技工士,衛生士の各教育講座も参加しやすい設定にしました.

 会場おもてにある石碑には「研究は瑞々しく,単純明快に」と記されています.本大会の設定,運営も単純明快を心がけ,業者委託なしで医局員だけでしています.十分に備えて参りますが,万一不行き届きの点がございましたらご指摘ください.貴重な教訓としてつぎの機会に活かしたく存じます.また協賛企業の方々のほか,後援してくださった愛知県歯科医師会,愛知県歯科技工士会,愛知県歯科衛生士会,中日新聞社に厚くお礼を申し上げます.そして参加する皆様にとって本大会がアカデミックな雰囲気のなか自由闊達に議論できる場となり,延いては今後超高齢化する患者さんたちの安心として社会還元する一助になれば望外の幸せです.

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